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証拠保全ガイドライン 第1回「クラウドフォレンジックとは何か?」

クラウドフォレンジックとは何か?

デジタルフォレンジックは、サイバーインシデントや不正行為の証拠を収集・分析する技術領域です。その中でも、クラウドフォレンジックは、クラウド環境(IaaS、PaaS、SaaS)における証拠の収集・保全・解析を指します。

用語解説:
フォレンジック(Forensics): 事件・事故などの証拠を科学的に調査・分析する手法。デジタルフォレンジックはその情報技術版。

なぜクラウド環境でのフォレンジックが重要か

現代の企業活動では、多くのシステムがクラウド上で稼働しています。インシデント発生時には、証拠がクラウド上に分散されているため、従来のオンプレミス環境と同じ方法では対応できません。

  • 物理アクセスが不可能な環境での証拠確保
  • クラウドサービスプロバイダとの権限調整
  • ログの保持期間や形式の違い

「証拠保全ガイドライン 第10版」の狙い

一般社団法人JPCERT/CCが策定した「証拠保全ガイドライン 第10版」は、クラウドフォレンジックへの対応を初めて明確に扱い、実務者向けに必要な視点と考慮事項を体系的に整理しています。

次回は、クラウドフォレンジックにおける特有の課題について解説します。