🛡️ ゼロトラスト導入ガイド:チェックリストと国内ベンダー対応状況(NIST SP 800-207補足)
1. はじめに
これまでNIST SP 800-207に基づきゼロトラストアーキテクチャ(ZTA)の考え方を整理してきましたが、実際に導入を検討する際は、組織の現状や製品選定に課題が出てきます。
本記事では以下2つの補足情報を提供します:
- 📝 ZTA導入に向けた実践的チェックリスト
- 🏢 国内主要ベンダーによるZTA関連製品・サービス対応状況
2. ゼロトラスト導入チェックリスト
ZTAの導入には、以下のようなステップごとの検討が必要です。
ステップ | チェック項目 |
---|---|
① 現状把握 | ・システム・資産・ユーザー・アプリの棚卸し ・オンプレ / クラウド / ハイブリッド環境の構成把握 |
② 脅威とリスクの分析 | ・侵害のシナリオ整理(例:横展開リスク) ・重要資産に対する保護優先順位の設定 |
③ ポリシー策定 | ・アクセス制御ポリシー(条件付きアクセス) ・認可要件(ID, デバイス, 場所, 時間など) |
④ テクノロジー選定 | ・IDaaS, SWG, CASB, SDP, EDR等の選定 ・既存製品との連携性、API対応可否の確認 |
⑤ 小規模導入と検証 | ・パイロット対象部門やアプリの選定 ・実装後のログ収集・影響評価 |
⑥ 運用・監視・継続的改善 | ・ログモニタリングとアラート整備 ・ルールの定期見直しとチューニング |
💡 補足:
ZTAは単一製品の導入では実現できず、「組織設計」と「技術スタック全体」の見直しが必要です。
ZTAは単一製品の導入では実現できず、「組織設計」と「技術スタック全体」の見直しが必要です。
3. 国内主要ベンダーのZTA対応状況(2025年版)
以下は、日本国内で利用可能な主要セキュリティベンダーのZTA関連製品・対応カテゴリの早見表です。
ベンダー名 | 対応カテゴリ | 代表製品・サービス |
---|---|---|
Microsoft | ID管理、ポリシー制御、端末保護 | Entra ID(旧Azure AD)、Defender for Endpoint、Intune |
Google Cloud | コンテキストベースアクセス、ゼロトラストネットワーク | BeyondCorp Enterprise、Context-Aware Access |
Zscaler | SWG, CASB, ZTNA(SDP) | Zscaler Internet Access(ZIA)、Zscaler Private Access(ZPA) |
Palo Alto Networks | ZTNA 2.0、EDR、SASE | Prisma Access、Cortex XDR |
Cisco | アイデンティティ連携、ネットワーク制御 | Duo Security、Umbrella、ISE |
IIJ / NTT / NEC等 | 国内SASE・統合管理支援 | ゼロトラストパッケージ、マネージドZTAサービス |
📌 選定の視点:
「何を守るか(保護対象)」を明確にした上で、ZTAを構成する各技術要素を段階的に導入することが重要です。
「何を守るか(保護対象)」を明確にした上で、ZTAを構成する各技術要素を段階的に導入することが重要です。
4. おわりに
ゼロトラストは単なる製品導入ではなく、「信頼を再構成するアーキテクチャ」です。
本記事を通じて、導入に向けた現実的なステップと、製品・サービスの把握に役立てていただければ幸いです。